三里塚農楽まつり盛大に開催―「南台農地守る！」

農楽まつりの大成功を実感し、農地死守の決意を込めて団結ガンバローを三唱（７月２日　成田市東峰）

三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する「天神峰現地闘争＆農楽まつり」が７月２日に行われ、全国から１９０人が参加した。
前日までの雨はすっかり上がり、市東孝雄さんの南台農地は強い日光に照らされた農作物が青々と力強く生育している。この場所を絶対に守り抜く決意で、太郎良陽一さんがシュプレヒコールをリードし、ここからデモに出発だ。
宣伝カーに乗った婦人行動隊・宮本麻子さんが、「農地死守」の訴えを一帯に響かせた。機動隊の規制をはねのけ、デモは炎天下の道路を進む。第３誘導路を横切り市東さん宅前を通過。天神峰農地は今、高く頑丈な鉄板フェンスで無慈悲に囲まれ、看板・やぐらは奪われた。怒りと悔しさが全員の胸中を駆けめぐった。
さらに誘導路を横切り東峰に向けて進むと、Ｂ滑走路に飛来するジェット機が爆音を立てて、手が届きそうな真上を飛ぶ。旧小見川県道を右折し奥に進むと、まつり会場である萩原さんの清水の畑に到着した。この場所も誘導路に包囲されながら空港の完成を阻んでいる拠点だ。直射日光をさえぎる木々の下で汗をぬぐう参加者にさっそく、反対同盟と支援連が用意した冷えた飲み物、焼きそばなどが振る舞われた。

反対同盟を先頭に市東さんの南台農地からデモ行進に出発（成田市天神峰）

司会の婦人行動隊・木内敦子さんがまつりの開会を宣言し、最初に伊藤信晴さんが主催者あいさつに立った。「市東さんは天神峰農地を取られても営農を続け再建し一歩一歩前進している」との報告に拍手が湧いた。伊藤さんは「空港機能強化によって、芝山町３千戸の農家のうち１５０軒が敷地内として移転し、２５０軒が騒音地域として移転する。計４００軒がこの町からなくなるとは危機的事態であり、廃村化寸前だ」と警鐘を鳴らした。そして「芝山廃村化阻止、市東さんの南台農地死守、軍事使用を許さない、農業を守る」との基本スローガンを確認し、「この社会を変えるために市東さんとともに立ち上がろう」と呼びかけた。
連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が立った。反対同盟つぶしのために行われた強制執行と戦争会議・Ｇ７広島サミットを弾劾した上、「昨日動労千葉は第８８回定期委員会を開催した。労働者の誇りを奪う〈統括センター化〉に対し、撤回に向けて闘う」と鮮明な姿勢を表し、三里塚反対同盟と「車の両輪」として市東さんの南台農地を守り抜くことを誓った。
続けて関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行った。
そして音楽の時間に。
最初に萩原富夫さんが、エレキベースで自作の「No Farm No Life」「農地は命」を弾き語りし、聴衆を湧かせた。
ゲストはまず「いなのとひら・のとこば」のトリオ。すでに三里塚現地３回目の登場だ。岸田・自民党政治への痛烈な風刺をたたきつけ、人間愛に満ちたメッセージを巧みな演奏に乗せて聞かせた。続けて、やはり現地に何度も来訪している川口真由美さん。辺野古基地反対闘争の現場でも周囲を圧倒したパワフルなボーカルで闘いの賛歌を歌い上げ、会場の熱気を高めた。

左上から時計回りに、椎名千恵子さんの指導でかんしょ踊り、いなのとひら・のとこばと川口真由美さんのライブ演奏、くじに当たり萩原富夫さんからカレーセットを受け取る田中康宏・動労千葉顧問、ジャガイモ１キロ計量ゲームが白熱

そして、ロシアとウクライナにルーツをもつ外国人労働者が飛び入り。闘争歌「憎しみのるつぼ」や平和を願う歌を弾き語りした。
ここで冷えたスイカが配られ参加者ののどを潤した。
宮本麻子さんのカンパアピールに続いて、２・１５強制執行との激闘の中で不当逮捕され、完黙非転向を貫いて奪還された仲間たちが前に並び、大きな拍手に迎えられた。反対同盟看板の上に籠城した長江光斗全学連書記長がマイクを握り、獄中闘争への支援・激励に感謝を表しながら、三里塚実力闘争の正義、国家権力に与えた打撃の大きさ、完黙非転向の意義を強調した。
続いて、３・１１反原発福島行動実行委共同代表の椎名千恵子さんが、「福島も三里塚のように闘う時が来た」と述べ、汚染水海洋放出に対し絶対反対の決意を表した。海洋放出の「その日」が判明した時は、請戸海岸での緊急行動に立つことを呼びかけた。そして全学連や若手参加者に集合をかけ、にぎやかなお囃子に乗りながら「かんしょ踊り」を盛大に披露した。
続いて、リレートークに。最初に、現地で闘う仲間が立ち、成田空港周辺住民が夜間飛行差し止め請求を千葉地裁に提訴したことを報告し、クラウドファンディングによる資金協力、口頭弁論期日への裁判所への結集を呼びかけた。

２・１５～１６強制執行との実力闘争に立ち不当逮捕され、完黙非転向を貫き奪還された仲間たちが並んだ

婦人民主クラブ全国協議会の川添望さんは、「女性が闘えば戦争は止められる。わが婦民新聞の３本柱は女性、反戦、岸田打倒だ」と胸を張った。
リレートークの最後に全学連の齋藤晴輝君が深紅の中核旗、青い全学連旗とともに登場した。「強制執行時に機動隊の書類を盗んだ」との容疑で自分が不当逮捕されたことを報告し、「農地強奪の千葉県警にこんな〈罪〉を裁く資格は１ミリもない！」と断じた。さらに、全学連が強制執行阻止決戦に全身全霊で突入し、そこで学んだ三里塚闘争の正義性・豊かさ・勝利性を糧として、Ｇ７サミット粉砕闘争の爆発が実現したことを述べた。そして農地強奪に対する怒りの実力闘争を継承し、三里塚の最後の勝利まで闘うことを固く誓い、万雷の拍手を浴びた。
ここでお楽しみ企画として、ジャガイモの計量ゲーム（一回ででピタリ１キロ計れたら持ち帰り）、さらに市東さんが引くくじで「カレーセット」＝野菜詰め合わせなどの贈呈が行われ、参加者の笑顔がはじけ歓声が飛び交った。
大詰めを迎え、市東さんがあいさつに立った。「強制執行以来、いろいろな面でみなさんに助けていただきました。新たにビニールハウス２棟、トイレを建てました。８月にはユニットハウス２棟が届きます。夏の暑い時は涼しんでもらえると思います。新年のあいさつから、『今年は楽しく闘いましょう』と言ってきました。元気よく、軍事空港反対と農地死守の闘いを続けていきます」。市東さんの決意と覚悟に、参加者全員が熱い拍手で応えた。
「反対同盟の歌」を全員で斉唱。この曲も半世紀近く歌い継がれてきたが、「誇りも高き農地死守」「公団無用のひとすじに」などの歌詞が少しも古びれず参加者の胸に刺さった。

空港機能強化粉砕、芝山町廃村化阻止、軍事空港反対、農地死守の決意を込めて反対同盟が団結ガンバロー

萩原さんが行動方針提起として、南台農地をめぐる耕作権裁判を「勝てる闘い」と強調し、千葉地裁への傍聴参加を訴えた。さらにＮＡＡの「新しい成田空港」構想が軍事転用を狙った空港拡張攻撃であることを指摘し、署名運動、空港拡張差し止め裁判への取り組みを要請した。
「まつり」としてかちとられた豊かで有意義な一日の締めに、萩原さんの音頭で力強く団結ガンバローを三唱した。（ＴＮ）

スケジュール
◎団結街道裁判　７月１４日（金）午前１０時３０分開廷　千葉地裁
◎耕作権裁判　７月２４日（月）午前９時千葉市中央公園集合→市内デモ　１０時３０分開廷　千葉地裁

炎天下を進むデモ。「農地強奪を許さない！」